ユーザー様方やお客様方には大変ご心配をお掛けして参りましたが、令和6年7月に双方の弁護士による円満な示談が成立し、賠償のお支払いも完了致しましたことをご報告させて頂きます。
令和5年1月2日に発生、何が起こったのか理解できないままに、3日に現場検証に立ち会いまして、被害者様からバッテリーの発熱があったとのお話をお聞きして、状況が見えて参りました。火元は三元系リチウムバッテリーの熱暴走に間違いなく、配線の接続緩み等は確認されていません。(接触不良による発熱発火もあり)リチウムバッテリーはBMS(バッテリー・マネジメント・システム)なる集積基板が入っており、それがバッテリーや配線・システムを保護していますが、BMSで監視する前段階のバッテリーセルの熱暴走が原因と断定致しました。(※熱暴走については後述しています)前段階なのでBMSの機能は及ばないのです。バッテリーは新品3箱で凹みもなく内部は分厚いスポンジ枠で保護されていました。
被害者様の一番の心配は「使用者責任はあったか?」です。被害者様に非があると判定されると当然に賠償は減額されます。しかし、被害者様の使用方法に一切の非は認められませんし、改造を施すスキルもお持ちではありません。当方の施工方法、純正部品の採用にも一切の非は無く、確実に存在するのは3個の内「どのバッテリーから熱暴走が発生した」ことを判断できる消防の検証にあります。つまり、「火災の原因はバッテリー熱暴走発生」でした。そのご心配を払拭するため、製造販売者の責任において「使用者責任はありません」と早々に宣言して、安心して頂きました。
正月の仕事始めを待って保険会社に事故の連絡を入れました。事故車両の入庫を待って、多くの人達による綿密な調査が続きました。当社製品の技術的な欠陥は一切認められていませんが、当方には製造者責任賠償が発生致しますので、保険会社が選任する弁護士をお願いして、被害者様の補償に対応させて頂くことになりました。ここまでは被害者様と電話やメールで連絡を交わしていましたが、行き違いを防ぐ為に差し控えるように要請があり、連絡を入れて急遽電話やメール連絡を停止させて頂きました。気分を害されたかもしれませんが、進行に障害があると被害者様の為にならないとしての対処です。これからの流れは自動車事故示談と同じで、過失0%で賠償金を保険会社からお支払い頂くことです。弁護士が入った場合は弁護士が検討した額を参考にお支払額が決定されるようです。
「弁護士間連絡は文書にて」と取決められているようで、ひとつの連絡事項がありますと返事が返ってくるのに数か月待ちも珍しくなく、協議や連絡等で1年半も費やしました。「十分な補償をお願いします」と伝えていましたが、被害者様に納得頂ける答えを出して頂けたものと喜んでおります。
あるユーザー様には査定に役立つ資料の提供を授かったりと、皆様方の温かいご支援を賜っています。励みのお言葉も多数のユーザー様から頂きました。双方の弁護士間での協議中には勝手な内容報告は許されないため、中間報告は控えさせて頂きました。悪意のある誹謗中傷も舞っていたようですが、まずは被害者様への賠償が迅速に進められるよう、弁護士先生方の誠意ある交渉を見守って参りました。踏み込んだ内容までは守秘義務もございますので控えさせて頂きます。
今回の件で被害者様は、当社の資金で保障されると思われていたようです。どちらの会社もそれほど潤沢な資金を用意はされていません。何かの保険として、PL法に則ったPL保険が存在します。日本RV協会員は「何かのために」PL保険に掛け続けていると存じます。
世界のバッテリー火災は2024年に入り、急激に多発するようになりました。大きな事故は自動車運搬船火災で数千台が燃えています。最近では韓国の地下駐車場でベンツのバッテリーから出火しています。日本でも燃えたか、破裂したかのリチウムバッテリー山積みの例もあるようです。100Aのリチウム1個で電子レンジを廻して「ボン」は完全に容量不足です。100A×12Vは1200Wの出力,1500Wインバータならすぐに空っぽの過放電。十分な容量を用意してゆとりのある使用を心がけましょう。使用中は若干の発熱がありますが、常時の発熱や膨張するのは異常です。ビルダーの指示に従ってください。(セルの塊間で発熱による電圧調整をBMSが行っています。その場合は部分的な温かさで正常です)
バッテリーの熱暴走とは
バッテリー内部の多数の筒状の最小単位の電池をセルと呼びます。エクセルのマス目のセルと同じです。内部のプラスとマイナスを仕切る薄い膜は完全に絶縁ではなく、リチウムイオンが小さな穴を通って規則正しく移動することにより発電・充電します。その穴は1個づつ通れるとして、偶然に2個、3個と通れたとしますと、通りやすくなって周りのイオンがドンドンとその穴にめがけるようになり、それがさらに集中すると熱暴走に至ります。なぜ最初に集中が起こるのかの原因は解明されていませんが、原因と思われるのは過充電、過放電、移動中の落下・追突ショックです。(携帯の発火は落下ショック、すぐには起こりません)
バッテリー内部にはBMSがあってそれらを管理しています。安価なバッテリーはBMSすら無いものも存在するようです。あっても設定値はマチマチのようです? インバータ使用では内部でcutoff電圧が設定されているので過放電の心配はありませんが、cutoff回路が無い使用ではBMS設定値まで下がります。設定値より若干上が安全ラインだと云えます。
過充電は充電電圧が高すぎる場合に起こります。また、電流が多すぎても急速充電となり、無理が掛かり寿命を短くさせます。電気の質にも影響されます。鉛バッテリー用の充電器はリチウムには使えません。リチウム用、リチウム対応は充電特性が鉛用とは異なります。当社にはバッテリー充電に関する機器メーカーからの相談もあって提案も行っています。すでに製品化されて世界に販売もされています。さらに新たな発想の元で、製品化されるかもしれない、世界が待ち望む具体的な製品提案もさせて頂いています。バッテリー業界を爪先ほどですが影で支えているのかも? 今後あなたが購入されるキャンカーに、当社の提案や技術が生かされているかもしれません。